英検ジュニアとは、主に日本の小学校の英語レベルを意識した問題設定の英語のテストです。オールリスニング、オールカラーのイラスト付きのテストであり、未就学児でも楽しく英語力を測ることができる試験として、早期から子供の英語学習を始めているご家庭を中心に人気を集めています。
この記事では、英検ジュニアの概要や具体的な試験内容、受験方法、英検との違いなどについて解説しています。お子様の英語力をチェックしたいと考えている方や、英検と英検ジュニアのどちらを受験すべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
英検ジュニアとは?
英検ジュニアとは、「児童の英語能力の調査・研究を目的に、英語に親しみ、外国の文化を理解することを目標として1994年に開発した児童向けの『育成型ゲーム感覚』のリスニングテスト(引用:公式サイト)」です。2015年4月に改名される前は、「児童英検」と呼ばれていました。
英検ジュニアの大きな特徴は、合否のない「育成型」の試験であることです。従来の英検のように、合格・不合格で英語力を判定するのではなく、成績が正答率で表示されます。
英検ジュニアに年齢制限はありませんが、基本は小学生の受験を想定して作られたテストです。ただし、グレードによっては英語学習を始めた幼児でも受験できるレベルと言われています。
グレードは、英語力に応じて、BRONZE(ブロンズ)、SILVER(シルバー)、GOLD(ゴールド)の3つが用意されています。
各グレードのレベル感や具体的な問題内容については、記事の後半で詳しく解説しています。
受験方法
英検ジュニアの受験方法は、以下の3つがあります。ただし、個人で受験する場合はオンライン受験のみ可能となっています。
- オンライン受験
- ペーパー受験
- 学校受験
1つ目は、オンライン版です。これは、パソコンもしくはタブレットとインターネット環境があれば、どこでも受験が可能な方法です。試験後、点数が即座に確認できる点と、クレジットカード決済またはコンビニでの現金払いが可能な点が魅力です。また、申込みから3か月以内ならいつでも好きなタイミングで受験することができます。
2つ目は、ペーパー版です。これは、5名以上の団体での申し込みが可能で、主に塾や英会話教室で行われる方法です。机に向かって問題を解くという試験の雰囲気を体験できることが魅力です。今後、英検の受験を予定している場合は、ペーパー試験の良い練習になるでしょう。なお、ペーパー版の試験は年に3回、指定の日程で行われます。
3つ目は、学校版です。これは、小学校など教育機関のみが申し込み可能となっています。教育現場で活用できるよう、教育関係者向けの各種データが提供されることが特徴です。具体的には、全国規模のデータとの比較検証活動の成果・検証に活かせるフィードバック、リスニング力と情意面のクロス集計などを得られます。
3つの受験方法から、お子様の英語学習の環境にあわせて、最適な受験方法を選びましょう。
英検ジュニアのレベル
続いては、英検ジュニアの3つのグレードのレベルについて詳しく紹介します。英検ジュニアの公式サイトによると、各グレードにおけるレベル感は以下のように示されています。
グレード | BRONZE | SILVER | GOLD |
英検Jr.の受験歴 | 初めて受験する児童 | BRONZEを受験して80%以上正解した児童 | SILVERを受験して80%以上正解した児童 |
塾などでの学習 | 半年~1年程度 | 1年~2年程度 | 2年~3年程度 |
小学校での英語活動 | 1年半~2年程度 | 2年半~3年半程度 | 4年~5年程度 |
文字の学習 | 学習経験なし | 1年~2年程度 | 2年半~3年程度 |
その他 | 家庭で学習している未就学の児童 | ‐ | ‐ |
以下で、より具体的な各グレードのレベルの目安について見ていきましょう。
BRONZE(ブロンズ)のレベル
BRONZEは、英検ジュニアにおける最初の級です。小学校低学年(1・2年生)程度の英語レベルであり、主に初めて英検ジュニアを受験する児童や、塾などで英語を半年~1年程度学習した児童を対象としています。
英検ジュニアの公式では、BRONZEの到達目標として以下の2点が挙げられています。
- 英語の音やリズムに慣れ親しむ
- 初歩的なコミュニケーションに必要な語句や簡単な表現を聞き、理解する
BRONZEは、絵を見て答える問題のみで構成されています。そのため、文字の読み書きをまだ始めていない段階でも受験することが可能です。
また、BRONZEは英語学習歴について「家庭で学習している未就学の児童」も受験対象としています。塾などに通わずに「おうち英語」に取り組んでいるご家庭などでは、どれだけ英語が身についているかをチェックする良い機会となるでしょう。試験時間も30分と短いため、長時間集中して試験を受けることが難しい低年齢のお子様でも安心して受験できます。
SILVER(シルバー)のレベル
SILVERは、3グレードの設定のある英検ジュニアにおける2つ目の級です。英語力の目安としては、小学校中学年(3・4年生)程度のレベルとされています。主にBRONZEを受験して80%以上正解した児童や、塾などで英語を1年~2年程度学習した児童を対象としています。
英検ジュニアの公式では、SILVERの到達目標として以下の3点が挙げられています。
- 日常生活での身近な事柄に関する簡単な語句や表現を聞き、理解する。それに対して簡単に応答する
- 簡単な会話や文をいくつか聞き、その中にある情報を理解する
- 文字と音声の結びつきに関心をもつ
「文字と音声の結びつきに関心をもつ」ことが目標のひとつとして掲げられている通り、SILVERではアルファベットと音声の結びつきを認識できるかや、簡単で短い単語の認識が可能かがチェックされます。文字に関する問題が出題されることが、BRONZEとの大きな違いと言えるでしょう。
GOLD(ゴールド)のレベル
GOLDは、英検ジュニアにおける最上級です。小学校高学年(5・6年生)程度の英語レベルであり、主にSILVERを受験して80%以上正解した児童や、塾などで英語を2年~3年程度学習した児童を対象としています。
GOLDの到達目標としては、英検ジュニア公式は以下の3点を挙げています。
- 日常生活での身近な事柄に関する語句や表現を聞き、理解する。また、それに対して質問したり応答したりする
- まとまった会話や文章を聞いて、その中の情報を理解し、その場面状況を判断したり要旨を把握したりする
- 身の回りの語句や簡単な短い文を読む
SILVERでは簡単な単語や短い会話の聞き取りが中心であったのに対して、GOLDでは3往復以上のまとまった会話の聞き取りや、3文以上の聞き取り、5W1Hによる疑問文の応答、質問文の投げかけが出題されます。GOLDを受験して80%以上正解した場合は、次のレベルとして英検5級の受験にチャレンジするのも良いでしょう。
英検ジュニアの試験内容
ここからは、英検ジュニアの各グレードにおける具体的な試験内容について紹介します。試験時間や問題数もあわせて確認し、本番に備えましょう。なお、英検ジュニアの公式サイトでは各グレードのサンプル問題を解くこともできます。
BRONZE(ブロンズ)の試験内容
まずは、BRONZEの試験内容について見てみましょう。試験時間や問題数、テスト分野は以下の通りです。
試験時間 | 約30分 |
小問数(大問数) | 40問(7問) |
テスト分野 | 語句:定型表現、基本文中の名詞、形容詞、動詞の聞きとり会話:あいさつ、動詞を含んだ初歩的な会話(1往復)の聞きとり文章:簡単で短い文章(1〜3文)の聞きとり |
主な話題・場面 | 日常生活(家庭・学校など)での身近なできごと、家族・友人・先生との交流、朝起きてから寝るまでにすること、 毎日の生活に欠かせないこと、児童の関心のあることなど |
具体的な出題例としては、以下が挙げられています。
- ”This is…” などの表現を用いた文を3つ聞き、絵に合った内容のものを選ぶ
- 絵を見て ”Is this…?” などの問いかけを聞き、”Yes/No” による正しい応答を選ぶ
- ”I’m…” などの表現による3つのヒントを聞き、その内容に合った絵を選ぶ
- 短い1つの文を聞き、その内容に合った絵を選ぶ
- あいさつや定型表現を含んだ会話を聞き、その内容に合った絵を選ぶ
- 基本動詞を使った会話を聞き、その内容に合った絵をすべて選ぶ
- 基本動詞を使った命令文を含む会話を聞き、その内容に合った絵を選ぶ
- 自分自身やある物事に関する質問を聞き、自分の考えに合った(または近い)応答を選ぶ
絵を使った問題が大半であり、出題内容はリスニングのみであることが特徴です。主に ”dog(犬)”、 ”apple(りんご) ”、 ”ball(ボール)”といった、幼い子供にも馴染みのある単語が出題されます。
SILVER(シルバー)の試験内容
続いては、SILVERの試験内容についてです。
試験時間 | 約35分 |
小問数(大問数) | 45問(9問) |
テスト分野 | 語句:定型表現、基本文中の基本的な前置詞の聞きとり、いろいろな文の中の名詞、形容詞、動詞の聞きとり、カテゴリー別複数単語の聞きとり会話:話しかけに対する応答選択、簡単で短い会話(2〜3往復)の聞きとり文章:簡単で短い文章(2〜3文)の聞きとり、否定文や疑問文の聞きとりと応答文字:アルファベットと音声の結びつきの認識、簡単で短い単語の認 |
主な話題・場面 | 身近な社会生活(近隣地域)でのできごと、初めて会う人や外国人との交流、学校で習うことや課外活動、児童の生活での一般的な知識など |
出題内容例は、以下の通りです。
- ”…is…”などの表現を用いた文を3つ聞き、絵に合った内容のものを選ぶ
- 問いかけを聞き、その内容に合った応答を選ぶ
- ある種類に属する4つのものの名前を聞き、聞こえたものを複数の絵の中からすべて選ぶ
- 様々な表現による3つのヒントを聞き、その内容に合った絵を選ぶ
- 3つの語(絵入り)を聞き、それらの頭文字に共通するアルファベットを選ぶ
- クイズ ひとつの文または2つの文をまとめて聞き、その内容に合った絵を2枚のうちから選ぶ
- 2人の会話を聞き、その内容に合った絵を選ぶ
- 基本動詞を用いた2人の会話を聞き、その内容に合った絵をすべて選ぶ
- ひとつの語(絵入り)を聞き、それに合った文字を選ぶ
- 自分自身やある物事に関する質問を聞き、自分の考えに合った(または近い)応答を選ぶ
SILVERでは絵や音声を使って答える問題のほか、アルファベットを選択する問題も出題されます。使用される単語は、 ”study(勉強する)”、”forest(森)”、”castle(お城)”など、BRONZEと比較するとやや高度なものとなっています。
GOLD(ゴールド)の試験内容
最後に、GOLDの試験内容を紹介します。
試験時間 | 約45分 |
小問数(大問数) | 50問(9問) |
テスト分野 | 語句:いろいろな文の中での語句の聞きとり会話:簡単でまとまった会話(3往復以上)の聞きとり文章:つながりのある複数の文(3文以上)の聞きとり、5W1Hによる疑問文の応答、質問文の投げかけ文字:基本的な語句、簡単で短い文の認識 |
主な話題・場面 | 日本や外国の身近な話題・行事・文化、海外旅行、身近な社会活動、ボランティアなどの活動、 夢や将来のこと、物語や架空のことなど |
具体的な問題内容としては、以下の例が挙げられています。
- ”…is…”などの表現を用いた文を3つ聞き、絵に合った内容のものを選ぶ
- 4つのものの名前(音声)をまとめて聞き、その中からカテゴリーに合わないものをひとつ選ぶ
- 問いかけを聞き、その内容に合った応答を選ぶ
- 物語や紹介文などのまとまった文章を聞き、その内容に合った絵を選ぶ
- ひとつの語(文字)を見て、それに合った絵を選ぶ
- 1枚の絵を見ながらWhere…?やWhat…?などを使った質問を聞き、その内容に合った応答を選ぶ
- 2人の会話を聞き、その内容に合った文を選ぶ
- 絵を見ながらその状況についての説明を聞き、その内容に合った質問文を選ぶ
- 4コマの絵(文字入り)を見ながら会話を聞き、抜けているセリフに合っている文を選ぶ
- 自分自身やある物事に関する質問を聞き、自分の考えに合った(または近い)応答を選ぶ
このように、会話の内容を的確に把握する力や、質問に対する適切な答えを選択する力が求められます。”right(正しい)”、”borrow(借りる)”、”behind(~の後ろ)など、日常生活でも多用される単語が出題されます。
英検ジュニアの合格率
記事の冒頭でも紹介しましたが、英検と英検ジュニアの大きな違いは、英検は5級〜1級までの各級において合否判定が行われるのに対して、英検ジュニアは成績を正答率という形で提示することです。そのため、英検ジュニアでは合格率のデータも公表されていません。
英検ジュニアが、合否ではなく正答率で英語力を示すのには、実力を数値で示すことで児童に「できた!」という達成感を感じてもらうことにあります。学習の成果を数値で確認でき、受験を重ねるたびに正答率が上がったり、グレードが上がったりすることで英語学習のモチベーションにもなります。
なお、英検ジュニアには合格・不合格といった基準はないものの、SILVERを受験する目安が「BRONZEを受験して80%以上正解した児童」、GOLDを受験する目安が「SILVERを受験して80%以上正解した児童」と示されています。そのため、80%以上の正答率を受験の目標としても良いかもしれません。
ちなみに、「SILVERを受け80%以上正解し、長い文章や会話を聞く音声学習よりも、単語や文を読む文字学習に力を入れている児童」および「GOLDを受け80%以上正解し、単語や文を読む学習もしており、合否を気にせず力試しをしたい児童」に対しては、英検5級の受験も推奨されています。GOLDの次のステップへと進む目安としても良いでしょう。
英検か英検ジュニアで迷ったら?
英検ジュニアの受験を検討している方の中には、「英検ジュニアではなく、英検5級を受けるべきか」とお悩みの方も多いかもしれません。どちらを受験すべきか迷った場合は、両試験の特徴の違いを理解したうえで、お子様の年齢や英語学習歴を踏まえて最適な方を選びましょう。
繰り返しになりますが、英検ジュニアと英検の最大の違いは、英検が合否で結果が出るのに対して、英検ジュニアは正答率で結果が示されることです。合否で結果を突きつけるのはまだ早いと感じる方や、スコアで結果を知りたいという場合は、英検ジュニアの方が適しています。また、英検ジュニアを個人で申し込む場合はオンライン受験となるため、人目を気にせずリラックスしてテストに取り組むことができるでしょう。
英語の試験としてのレベルについては、英検ジュニアのBRONZEは英検5級よりも簡単です。そのため、未就学児など小さなお子様の英語試験デビューには最適と言えます。
SILVERやGOLDグレードは小学校中学年以上英語レベルが対象となっているため、英検5級を受験する前の力試しとして受験するのに適しています。ちなみに、英検5級は「中学初等程度」、英検4級は「中学中等程度」の英語力が目安とされています。
上記を踏まえると、GOLDのレベルに対応できそうであれば、英検ジュニアをスキップして英検を受験することを検討しても良いでしょう。英検ジュニアの公式サイトでサンプル問題を確認して、お子様の実力に合った試験を選んでください。
英検(5級~2級)及び英検ジュニアを教室で受検することができます
お子様の英検や英検ジュニアの受験を検討している保護者の方の中には、「英検ジュニアを受けさせたいけれど、どうやって対策すれば良いのかわからない」「テストの雰囲気に慣れる意味でも、ペーパー版の英検ジュニアを受けさせたい」とお考えの方もいるかもしれません。
そのような方には、イングリッシュワールドがおすすめです。イングリッシュワールドは、英検及び英検ジュニアの対策コースが用意されている英会話教室です。1クラス4名までの少人数制であり、個別対応できめ細かく指導を実施していることが特徴です。
また、担任制を採用しているため、担当講師がお子様一人ひとりの習熟度をしっかり把握したうえで、最適な指導を実現しています。もちろん、「英検ジュニアと英検のどちらを受けるべきか」「この子の実力には、どのグレード、どの級から挑戦すべきか」といったお悩みもご相談いただけます。
また、イングリッシュワールドでは各教室で英検(5級〜2級)及び英検ジュニアの受検が可能です。通い慣れた教室でリラックスして試験に取り組めるため、実力を発揮しやすくなるでしょう。英検や英検ジュニアの受験についてお悩みの方は、イングリッシュワールドまで、ぜひ、お気軽にご相談ください。